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 森林のこともっと知りたい

森林総合監理士の視点で森づくりの構想を描こう!

~岩見沢農高2年生がインターンシップ~ 

【空知森林管理署】


空知森林管理署でインターンシップを行った岩見沢農業高校(森林科学科)2年生

平成27年6月23日(水曜日)から25日(金曜日)の3日間、空知森林管理署では北海道岩見沢農業高等学校(森林科学科)からのインターンシップ(就業体験実習)の受け入れを行いました。

同学科のインターンシップでは、生徒の希望により森林行政機関、林業会社、木材会社などでの実習を行っています。

空知森林管理署では森林行政機関での体験を希望した8名のみなさんが実習を行いました。

当森林管理署では、実習生のみなさんに、森林行政機関の職員は「公的な立場」でどのように森林づくりに携わっているのかを経験してもらい、公共の仕事として長期的、広域的な視点で計画的な「森づくり」を進めるというのはどのようなことなのかを学んでもらうことを目的にカリキュラムを準備しました。

1日目(6月23日)「森づくりの構想を作る」 

今回の実習のカリキュラムは、森林総合監理士(国家資格)候補者を養成する林野庁の「准フォレスター研修」の内容をベースに、これを高校生用に置き換えたものとし、森林総合監理士の重要な役割のうち、地域の森林を科学的に評価し、その森林をどのように整備・保全していくのか「森づくりの構想」を作り、発表を行う内容です。  

インターンシップ実習生のあいさつ

 朝9時に「お早うございます!」と元気に”出勤”した8名のみなさんは、全署員から激励を受け、早速、オリエンテーションへ。
 ここでは、国有林野事業の概要、森林官の仕事、国家公務員試験の内容、採用後の待遇などについて説明を受けました。

 

資料から森林を把握する

オリエンテーションが終わると早速、実習スタートです。

実習開始

今日は岩見沢市にある利根別国有林の状況を資料から把握し、どのように間伐や路網整備などを行うかといった仮想の「森づくり構想」(机上案)を4人ずつ2つのチームに分かれて作成します。

 

森林に期待されている機能や水源を調べ、ゾーニングを考える

はじめに、地域の森林の現況を把握するために、森林の”戸籍簿”である「森林調査簿」を使い、森林整備を行う際の法規制、発揮が期待される公益的機能、木材生産機能の評価、人工林の樹種や林齢を調べ、地形図上での位置を一つ一つ把握していきました

続いて、地形図の等高線を読み取りながら河川、その源流となる渓流、さらにその集水区域にマーキングを行いました。

水系を調べることで、森林施業の際に注意しなければならない箇所が把握できるとともに、図面から現地の地形をイメージしやすくなります。

この地区は注意しなければならない渓流がたくさんあるようです。

水系の把握作業  
 
森林の現況などを把握した上でグループ内で議論し、この地区の森林整備の目標を「水源涵養機能の発揮と自然環境の保全を重視した森づくり」とし、天然林は保全し、人工林では間伐を行って木材生産機能を発揮させていくことにしました。

目標が決まると、この地区の森林に期待される機能等を考えながら、「水源涵養」機能を発揮させる区域と「木材生産」機能を発揮させる区域の2区分にゾーニングを行いました。

路網の整備方法を検討

 路網の検討作業

木材生産機能を発揮させる区域では、間伐の方法や木材を搬出するための林業専用道や森林作業道のルートの検討を行いました。

地形図の等高線から地形をイメージし、地形地質が安定し、傾斜が緩やかで、効率的なルートを試行錯誤しながら決めて行きました。

また、路網の密度は岩見沢市が定めている「傾斜別作業システム別路網密度の水準」を参考にしました。  

 

長時間の検討で、みなさん疲れたようでしたが、森づくり構想(案)の図面ができあがりました。

明日はこの図面を持って現地調査を行い、その適否などを判断していきます。   

2日目(6月24日)「利根別国有林で間伐調査と路網の検討」

利根別自然休養林

2日目は、新緑がまぶしい利根別国有林で現地実習です。

昨日作成した森づくり構想(案)と実際の現地を調査、比較し、修正点などの検討を行います。

 

路網の予定線形を確認

 路網の確認

昨日、地形図の等高線を読み取りながら作成した路網の線形が現地で実際に実現可能かどうか。

また、さらに良いルートはないかなどを林内を踏査しながら検討しました。

GPS機器も活用し踏査した結果、予想したとおりに林業専用道が作設できそうです。

 

生物多様性保全の視点も大切に 

クマゲラの食餌痕 

踏査中、天然林ではクマゲラの食餌痕を見つけました。

森に棲んでいる動物たちの痕跡にも目を配り、その生息環境に配慮しながら、森づくりを進めることを学びました。

 

森林踏査

踏査した森林は記録に残し、最終日の資料作成に活用します。

 

人工林の間伐調査

間伐調査

木材生産機能を発揮させる区域としてゾーニングした人工林では、立木の標準地調査を行い、1ヘクタールあたりの木の本数、材積などを基準に当てはめて必要な間伐率を算出。

今後どのような間伐作業を行うか検討し、グループごとに発表を行いました。

 

樹冠長率・形状比から森の健康診断

測高器で樹高を測定 

林内の樹木の混み具合を判断する指標である樹冠長率や形状比の測定も行いました。

 

間伐調査中

実習生のみなさんの調査では、林内が混み合ってきており、形状比が高く気象害が心配、また、樹冠長率が小さく今後の成長が心配とのこと。

早めの間伐が必要なようです。

 

天然更新は可能かな? 

キャンプ場になっている広場を仮想の「伐採跡地」に見立てて、今後どのように更新(森林に復元する)するかを検討しました。

天然更新調査

更新の方法には、苗木を植える「人工造林」と、天然力を活用し自然に生えてきた稚樹を育てる「天然更新」があり、天然更新は低コストではありますが、現地の状況を十分精査して判断する必要があります。

実習生のみなさんは林床をじっくり調べ、ミズナラなどの広葉樹の稚樹がたくさん自生していること、種子の供給減となる母樹が周囲に多数あること、鹿による食害の恐れが少ないこと等から「天然更新」できそうだという結論になりました。

 

現地調査終了

丸一日、林内を歩き回って調査、体感し、いろいろなデータが集められました。

明日の最終日は、森づくり構想(案)をブラッシュアップして発表です。


3日目(6月25日)「森づくりの構想を発表します」

合意形成に向けて


最終日は、昨日の現地実習で得られた知見をもとに、路網の線形などの修正や発表資料の作成を行いました。

 「森づくり構想」を実現していくためには、多くのみなさんの理解と協力が必要になることから、その発表方法も、森林整備の目標に向かって、森林の現況とそのデータ、必要な森林施業の考え方、将来の姿、地域へのメリットなどをわかりやすく示し、納得してもらうことが求められます。

 

発表

実習生のみなさんは、当森林管理署の署長、総括森林整備官等の職員を前に、工夫を凝らし、わかりやすく「森づくり構想」を説明し、大きな拍手を受けました。

 

署長からの講評

発表後には署長から「資料を読み解き、現地踏査を経てとりまとめた発表は大変すばらしかったです。3日間のインターンシップで得たことを今後の高校生活と進路決定に役立ててほしい」との講評と激励がありました。

 

若手職員との交流会 

発表も終わって緊張も解けたところで、最後は当森林管理署の若手職員(入庁1~8年目)との交流会を行いました。

若手職員との交流会

実習生のみなさんからは、普段の仕事の内容、やりがい、苦労したこと、国家公務員採用試験の受験勉強、気になるお給料の話や休日の過ごし方まで、多岐にわたる質問が出され、若手職員もユーモアを交えながら応じ、楽しく有意義なひとときとなりました。


森林行政に興味と関心を深めました  

最後に実習生のみなさんから「今まで漠然としたイメージしかなかった森林行政について、今回のインターンシップを通じてとても興味と関心がわいてきました。学校に戻ってもしっかり勉強し、将来につなげていきたいと思います。大変お世話になりありがとうございました。」との3日間の実習を終えたあいさつがあり、その後、職員の拍手で見送りし、終了となりました。 
 

実習生のみなさん大変お疲れ様でした。

将来の選択肢に森林管理署を加えてもらえると幸いです。

これからも元気でがんばってくださいね。   

 (小國 森林技術指導官)

 

お問い合わせ先

総務企画部企画課
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