ホーム > 森林管理局の案内 > 森林管理局の概要 > 管内各センターのご紹介 > 釧路湿原森林ふれあい推進センター > 業務内容 > 釧路湿原自然再生協議会 森林再生小委員会 > 第6回森林再生小委員会 議事要旨
「第6回森林再生小委員会」が平成18年 3月 7日(火曜日)に釧路地方合同庁舎において開催されました。
再生方法の検討に関して平成17年度の調査の結果と、再生方法の検討結果報告が事務局より行われた。
(委員)
既存造林地でのエゾシカによる食害が大きいという調査結果(資料1 11ページ)があるが、それを踏まえて実際にシカの食害をどのくらい防ぐことができると考えているか。実際の計画と防止策との関係はどうなのか。
(事務局)
エゾシカによる食害の影響がどの程度あるのかまず調べるため、試行的な実験をやりたい。そして、影響があることを確認してからどう対応していくか検討したい。
(委員)
釧路町、標茶町でのシカの生息状況については、かなり高い密度で推移している。雷別地区で森林再生を行う場合には、試行実験や生息調査を行いつつ、シカ対策を検討する事が大切。
(委員長)
達古武地区と同様に地表性甲虫を指標種として用い、多様度指数を評価した場合、正しく論議する事はできるのか。資料(資料1 13ページから15ページ)を見る限りでは多様度指数で評価するのは余り良い方法とは言えない。
(委員)
多様度指数を用いる場合、同じ生息環境を使用している種で評価するのが望ましい。調査の結果(資料1 13ページから15ページ)から、河原等を生息環境とするミズギワゴミムシが確認されており、森林性の種とは別に分析するべき。いい森林に出現する種を指標にするのがよい。
(委員長)
学会レベルで、地表性甲虫を用いた評価方法は確立しているのか。
(委員)
同じ種でも地域により使用する資源が異なるため、必ずしも他の地域では適用できない。地表性甲虫を森林の評価に用いる場合は、リファレンスとなる森林での甲虫の種組成と比較を行うのが確実。
平成17年度の調査の結果と検討結果について事務局より行われた。
(委員)
現地では以前、アオダモとイタヤカエデなどの木本が比較的多かったが、平成17年のモニタリング結果(資料2 3ページ)でこれらの実生が非常に少ない原因は何か。
土砂流出防止対策と粗朶柵設置(資料2 6・9 ページ)で、試験地内で出た間伐材を積極的に使い、外部から資材を持ち込まず現地の物で循環させるのは、非常に大事な取り組みである。
(事務局)
実生の発生には、種子の豊年凶年が影響してくる。一般的にアオダモは約5年に1回の頻度で豊作の年がある。平成13年は豊作で、それ以降は不作が続いた。イタヤカエデは平成15年が凶作で、平成17年は豊作。
(委員)
法面の土砂流出防止対策(資料2 8ページから 9ページ)は、大量にある間伐したカラマツの枝条を粗朶として用いた。循環型の自然再生を想定し、今回試験的に実施した。
(委員)
種子の散布様式や豊凶の有無を考慮し、実生や苗木の育成を樹種毎に計画し、実施することが重要。
(委員)
道有林の人工林内で間伐した枝条を試験的に集め、未利用材の先端を削ったもので上から押さえつけ土砂の流出の抑制を試みている。結果的にそこには種子が定着し易くなることにもつながる。
作業道の雨裂対策として、例えばゴムマットを 10cm 位の丸太などに挟み、釘などで固定したものであれば、簡単に人力で設置することが出来る。ゴムマットは車両が上を通過しても元に戻るため、そのような箇所を多数作ることにより、非常に効果がある。作業道に雨裂(資料2 9ページ)が出来ているが、路面の保護対策はされたのか。
(委員)
路面の雨裂(資料2 9ページ)は法面の施工前から出来ており降雨後よく発生する。この作業道は将来的に維持管理用として使うので来年度は道路横に粗朶の束をたくさん入れ、水が路面に流れ出ない処理を実施する。ここが土砂の排出量が最も多く、沢から約200m の所に釧路川の本流がある為、集水する前に沢へ落とし、土砂流出を抑える。
(委員)
現地で伐採した支障木や伐根は産業廃棄物になるため出来るだけ現地で使う方向で取り組んでいる。使用方法としては、粉砕してチップにし作業道の上に舗装材として敷くことが多い。剥き出しの地面よりは侵食が少なくなる。しかしこれを行う場合、移動式のチッパーをレンタルし、現地に搬入するためコストが掛かる。丸太とゴムマットを組み合わせた横断側溝の写真資料を提供するので参照して作って欲しい。
(委員長)
ササを抑制する方法や、土砂流出防止等色々なノウハウを道有林、国有林の方も持っている。現地視察形式で会議を行い、達古武や雷別で利用出来る技術を勉強したい。
土砂流出防止策のモニタリングとして、土砂堆積量の測定などが検討されているが、緑化が進む事により、土砂流出が減少することは明らかなため、モニタリングの必要性は低いのではないか。
法面の土砂対策(資料2 6ページ)ではムシロを張る事により新たな自然侵入を妨げるのではないか。
(委員)
自然侵入を妨げるのを想定し、作業道の法面ではムシロを敷く前、ダケカンバ、ウダイカンバ、ハウチワカエデ、イタヤカエデ、タラノキも含め周辺で採取した種子を試験的に全面に蒔いた。
(委員)
達古武での崖崩れ(資料2 5ページ)の原因は何か。
(委員長)
林道が上部斜面の集水域を変え、集水面積以上の水を集めてしまう事と、切土施工により元々あった水脈を断ってしまう事で、斜面の崩壊が起こりやすくなる。伐採後10年や15年で根が腐り、植えた木もまだ支持力を持っていないときには最もよく崩れる。人為的に不安定な条件を作っている事が多い。ゼロ字谷と呼ばれる元々お椀型の地形の源頭で、伏流してきた水が湧き出てくる場所でも崩壊が進む。これはどちらかというと自然的な要因である。
(委員)
作業道を切ると崩壊の原因になるケースはある。大事なのは作業道を作った時にキチンと排水処理をし、水が集中しない対策を取ること。昔作って放置された作業道が緑化されておらず崩壊しているケースはよくある。
(委員長)
作業道自体に雨水を長い距離走らせず横断溝の様な形で短く切っていけば、ある程度拡散し斜面に落ちるので、余り崩壊に至らない。雨水を地下に浸透させることが最良の策。
第5回小委員会及び第9回協議会での意見を踏まえ修正された内容の説明が事務局からなされた。釧路湿原達古武地域自然再生事業実施計画は、修正の後、 2月28日付けで主務大臣並びに知事宛てに提出された旨が報告された。
ニュースレターNo.6(1ページ)(PDF:1,361KB)