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第5回森林再生小委員会 議事要旨

「第5回森林再生小委員会」が平成17年11月 8日(火曜日)に釧路地方合同庁舎において開催されました。
委員会は、構成委員41名(個人 13名、団体16団体、オブザーバー 4団体、関係行政機関 8機関)のうち、28名(個人 9名、団体11団体、オブザーバー 2団体、関係行政機関 6機関)の出席により開催されました。
会議は、先ず始めに作成が進められている達古武地域自然再生実施計画(案)について協議が行われました。事務局から、前回の小委員会と協議会での議論を踏まえて変更された内容を中心に、説明がなされ、討議が行われました。
その結果、達古武地域自然再生実施計画(案)は了承され、次の協議会に報告することを確認しました。
引き続き、釧路湿原流域の現況図について、各データの利用や共有、公開の方法について活発な議論が行われました。
その他、民間団体が実施する場合の支援に関する議論や、エゾシカ対策の問題について、議論を深める必要性があることが確認されました。

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達古武地域自然再生実施計画(案)について

前回の小委員会で議論された達古武地域自然再生実施計画(素案)からの変更点についての説明が事務局より行われた。

<実施計画(素案)からの変更点について 第2章>

(委員長)

本小委員会では、森林を含めた達古武沼流域全体を保全するために、水質や土砂流出などの他委員会でとりあげるべき問題も含めて議論していこうという方向でいる。実施計画(素案)には具体的な施策的内容も記載されていたが、先の協議会において、各小委員会で問題が具体的にまとまっていない内容の記載方法に関して指摘があった。この指摘を踏まえ、今回の実施計画(案)においては、対象地域の様々な問題点を指摘し具体的な施策までは踏み込まずその方向性を示すのみにとどめている。今回の修正点はこのような内容が主である。

今回の実施計画作成に当たっては、様々なデータが利用されていて、そのデータの根拠が報告書であったり、学会誌等であったりすると思う。今後、この実施計画に興味を持たれた方のためにも、記載しているデータの出典を明記して欲しい。

(委員)

GIS で現況の地図などはビジュアルな形になっているが、例えばカラマツ人工林の面積がどの程度減少していくかなど、最終的なアウトプットがビジュアルで示されていなく文章的にもはっきりした数値が示されていないのではないか。

(事務局)

第2章は、対象地域全体の課題と再生の方向性について記載している部分であり、例えば何年までに何ヘクタールを広葉樹に戻すという具体的な数値を示すのは困難と考えている。

(委員長)

達古武流域の土地所有の現況を見ると私有地がほとんどを占めており、地図で将来像を示すことには限界がある。しかし、この小委員会に入って議論していただいている森林所有者の方もおり、その中には流域の保全を考えながら施業計画を検討されるという意見をいただいている。達古武地域については、そういう積み上げ的に進めていくしかなく、トップダウン的に目標を示すことは出来ないのではないかと思う。

(委員)

他の委員会に差し障るような内容は記載するなということであったが、釧路湿原再生を実施していく上で全てがひとつでなければならず、どこを優先して取り組んでいくかということをしっかりと共通認識する必要がある。山を守らなくては湿原は守れないのだとういことを、この委員会でどんどん発言していくことで周りも変わっていくのではないか。

(委員長)

ご指摘いただいた通り、どんどん発信していくという考えに変わりはない。ただ、事業地以外での具体的な手法の記載については若干控えている。

<実施計画(素案)からの変更点について 第3章>

標準地とモニタリング

(委員)

試験施工後の調査が指標種と樹木に限定されているが、生物多様性という観点から考えると、全体の植生調査や動物相調査もすべきではないか。

(事務局)

事業実施地区や対象地域では、これまでに植物・動物相の多くの項目についての調査を実施してきている。その中で実施計画に記載した項目は、再生の手法を評価するという観点から特化させており、これらの項目で試験結果を評価できると考えている。

(委員)

リファレンスサイト R1、R2 が設定されているが、所有区分では私有林となっているようだが。

樹種によってはエゾシカが好む樹種もあると思われるが、リファレンスサイトではエゾシカの影響はどのように考えているか。

(事務局)

リファレンスサイト R1、R2 は、20 m× 20mの方形区を設定し、調査を実施している。森林所有者の方には、調査・事業の趣旨を説明し、末永く現状を維持して頂くようお願いをしている。

リファレンスサイトは、丘陵地の上部に位置し、エゾシカが好むハルニレやオヒョウなどは少ない。その為、エゾシカの越冬地的な場所にはなっていないので被食の影響は比較的少ない場所と考えている。

エゾシカについて

(委員)

エゾシカに関する調査や対策についてはどの様に考えられているのか。

(委員)

シカの問題は全国的な問題になっており、知床においても科学委員会のもとエゾシカに関するワーキンググループを設置し、検討している。この実施計画では対策として防鹿柵を挙げているが、この他の手法も検討していかなくてはいけないと考えている。

(委員)

エゾシカは猟が解禁になると禁猟区である国立公園の中に逃げ込み、木を食い荒らす。国立公園の中の禁猟というのを外すという方策は出来ないか。

(委員)

国立公園ということではなく、鳥獣保護区に指定されているためエゾシカは狩猟できない。釧路湿原は、国立公園になる以前から希少鳥獣の保護を目的に鳥獣保護区が設定されているということもあり、シカの問題だけで鳥獣保護区を外すということは現実的ではない。

ただ、鳥獣保護区であっても有害鳥獣駆除の制度があり、被害を与えている有害な鳥獣であれば、手続きをとって駆除することができる。エゾシカの対策は、総合的に考えていかなければならない問題と考えている。

(委員長)

エゾシカの問題は情報不足の面もあり、専門家の委員に説明していただくことも含め、大きな目で見た個体群管理を含めた議論と、試験地をどう守るのかといった議論を同時に進めていきたい。

育苗計画について

(委員)

52 ページで、苗畑を 2005 年度から整備するということであるが、今年の種子は採れているのか。

(事務局)

今年は全道的に凶作といわれており、達古武においても、残念ながらほとんど採れていない。 52 ページに示している 3万粒を確保することはできなかった。ミズナラは、豊作・凶作の周期があると言われており、今年が大凶作であれば来年から徐々に回復していくのではないかと考えている。

(委員長)

自然環境に対して多大に負荷を与えるような議論でない限り、進めていく必要があることは、進めていく必要がある。苗畑整備もいわば準備に当たるものなので、本日の委員会で了承した上で進めて行き、協議会には事後報告で良い。

(委員)

ミズナラの結実に関して、何年周期で不作・豊作があるとか、具体的な既知の事実はあるのか。

(委員)

前年の気候が大きく影響するという説が最近は多い。ミズナラは隔年で豊凶がでる傾向が強く、アオダモは 5年に 1度と言われている。ダケカンバやイタヤカエデも豊凶が強いタイプであり、イタヤカエデはミズナラと豊凶のパターンが逆を示すことが多いので、必ずしも天候だけに影響されていない可能性があると思われる。

(委員)

昨年達古武地域のミズナラは大豊作まではいかなかったが、1万5千個ほど採取した。今年はかなり努力しても 1500 個ほどしか採れなかった。一年おきに豊凶があると言われているが、開花の時期に雨が降ると受粉しないため、その年はほとんど実をつけないこともある。周期とは別に、気候によって相当の影響を受けるということを経験上感じている。

(委員)

種子が採れた時に、いかに貯蔵して安定的に苗木を作っていくかということを考えていく必要がある。個人で苗畑をやっている方が、ミズナラの種子を 1 ~ 2 年保存できる手法を知っていた。実際に事業を進める中では、安定的な苗木作りという観点から種子の保存方法についても検討する必要があるのではないか。もう少し調べ、今後事務局に情報をお知らせしたい。

(委員)

限られた母樹から種子を集めることになり、クローン化していく危険性があるのではないか。

(事務局)

4200 ヘクタールの森林を対象に母樹調査を実施している。同じ木から毎年採取するというより、同じ流域から採取するというという考えでいる。

今後のスケジュールについて

(委員長)

この委員会では、前回の協議会の意見を踏まえて作成された、この実施計画(案)は了承された。協議会に最終報告をして欲しい。

(事務局)

12月の地域との意見交換会と第9回協議会で、実施計画(案)の修正が必要となる意見が出た場合には、次回の小委員会で報告させていただく。

釧路湿原流域の森林現況図について

釧路湿原流域の国有林と民有林のデータが整理され、作成された森林現況図について、事務局から説明が行われた。

(委員)

誰がこれを使っていくのか基本的な考え方を小委員会として意志統一していく必要がある。

(委員長)

国有林と民有林で同じレベルでは整理できなかった面もあり、実際上の不具合もありえる。ただ、現時点における環境省の植生図から比べると、より高いレベルでのデータが整理されたと言える。森林だけではなく、湿原の植生についても詳細なデータが揃ってきており、河川の流路図なども大正時代の地形図をデジタリングしたデータもあり、タンチョウの分布データなども既にある。徐々に基本的なデータが揃いつつあるのが現段階であり、これらをどうやって使っていくかということは非常に重要な事である。

(委員)

NPO トラストサルン釧路が、再生事業の実施者になるかどうかといった問題があり、誰か別な者が出てきて実施計画を立てるという可能性は非常に薄い。しかし、民有地であるから手を付けられないといって、誰も何もしなければ、その 90% 以上が民有地である釧路湿原の再生というのは、ごく一部に誰かが何かをやっているということにしかならない。これに対して、森林再生小委員会としては、どういう意見を持つのか意見集約してもらいたい。

(委員長)

この委員会は協議会の中の専門委員会であり、森林について議論をする場であるが、それに留まらず、水循環のデータも出しながら達古武の集水域全体を考え議論していく。意志統一をするためにも是非、どんどん意見を出していただきたい。

(委員)

自然再生のひとつのポリシ-の中に「情報の共有化」と「情報の公開」がある。共有化については、自然再生の基本方針や実施計画を作る時に、関わっている人の中で科学データに基づいてプランニングするためのデータベースを作ることが重要だと思う。そのためには、 GIS の生データについて把握し、必要に応じて評価図や主題図を作り、それを共有したい。

公開については、釧路湿原では自然再生の全国モデルになっていこうとしており、「こういうことをやっている」と、積極的にアピールする。そのためには、例えば、今進めている様なホームページ上でのわかりやすい情報公開が必要である。積極的に情報を使おうとする仕組みと、外に向かってアピールするという二段構えでやってはいかがか。

(委員長)

この協議会に加わって、釧路湿原の再生・保全に関わっている人に、データが解析できるレベルまで公開していきたい。個人情報や希少種のデータ以外は公開できるのではないか。ただ、それらについても、どういう目的を示してもらい申請書等を書いてもらい公開していきたい。

今、既に協議会のホームページは、高い評価を得ている。

(委員)

基本的には更に、生データもタダで全て公開すべきである。それに向かって、出来るものは公開する、出来ないものは将来的に検討できる方向で努力していただきたい。

(委員)

今回のこの現況図(資料 3)はどこが作ったのか、著作権フリーで誰でも使って良いのか。

(委員長)

現在は、環境省が管理するデータベースである。情報公開法のもとで、請求すれば出てくるものであることは間違いない。

(委員)

今回の国有林のデータは、この自然再生協議会の資料として使うということで林野庁から出している。流域全体の森林の状態を把握するという目的のために関連する省庁も協力出来るところは積極的にしていくということでデータの提供をした。ただ、このようなデータの提供には一定の条件があり、それをクリアする必要がある。

(委員)

環境省としては議論を進めていくために、釧路湿原に関わる様々な情報を関係者で共有することが大事であると考えている。林野庁からも流域に関する基本的な情報を整備する、ということで国有林データを提供していただいた。今後も情報のデータベース化やマップ化を進めていきたいと考えている。ただし、提供する主体によってはそのまま公開されるのは困る、ということもあるので、どの様な形であればホームページ上で公開できるか、情報の提供者と個別に話し合いながら、出来るだけ多くの人が自由に使える情報提供に努めていきたい。

(委員)

この委員会に関係する森林再生に関することであれば自由に使って良いのか。データを使い、新しい事実が見つかり報告書を作成するなど、勝手に使用していいのか。

(委員)

例えば環境省のホームページを使い、印刷・製本し、そのまま販売するなどの場合、問題ではある。ただ、現時点では想定しておらず自由に使っていただいている。

(委員)

基本的にはいいと思うが、想定はしておいた方がいい。

(委員長)

基本的に税金を使ったデータであれば公開をしていきたい。申請をすれば許可をもらいデータを使うことができるという形にしたい。全くフリーに使えるようになると、勝手に一人歩きし、マイナス面が出てきてしまう懸念もある。どのデータを使い、どう解析したかが明示してあれば、後にレビューも出来る。

どこかの省庁がデータを囲うのではなく、トラストサルン釧路や大学の研究室や環境省や国交省なり林野庁なりそれぞれが同じデータを元にそれぞれの条件で解析を行い議論していくことで、最終的により良い考え方が出てくるのではないか。

(委員)

現在、大量のデータが集まっている。データを使用する際の申請手続きが複雑なものもある。まだ、データを使う際の申請方法が整理されていないため、これからは手続きを一覧に整理するなどして、お見せできるようにしたい。

(委員)

NPO トラストサルン釧路はボランティア活動であり、専門家がいるわけでもなく、単に地域の事情にある程度詳しいということが強みである。その中で、釧路湿原全体の自然再生の方向性をまとめるということは出来ない。

(委員長)

トラストサルンだけでそういうものを作れという意味ではなく、意見やアイデアを出して出来る範囲で加わって欲しいという意味。

(委員)

土砂の流入に関して、土砂流入に詳しい専門家にも意見を聞くのはいかがか。

(委員)

民間団体が主導しなければ自然再生は成功しないということが国際的な考え方になっているが、それを支援するために具体的な方法が決められておらず、努力目標であるだけならば、民間団体は非常に活動しにくい。

(委員長)

自然再生全体の問題であり、改めて議論が必要である。

(委員)

環境省は、トラストサルン釧路との協働事業として、達古武地域の自然林を再生するため、試験的な苗木の生産や土砂流出防止の対策、試験施工などを行っている。自然再生法には、財政上の措置について書かれているが、努力規定である。

 

第5回森林再生小委員会 資料

ary02 ico_pdf12 この議事要旨の PDF 版(PDF:200KB)

ary02 ico_pdf12 会議資料(PDF:2,486KB)

 

ニュースレター

ary02 ico_pdf12 ニュースレター No.5(PDF:2,331KB)

お問い合わせ先

釧路湿原森林ふれあい推進センター 
担当者:(所長)中島章文
ダイヤルイン:0154-44-0533
FAX:0154-41-7305

〒085-0825 釧路市千歳町6番11号
Tel:0154-44-0533 Fax:0154-41-7305

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