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第4回森林再生小委員会 議事要旨

「第4回森林再生小委員会」が平成17年 7月 7日(木曜日)に、釧路地方合同庁舎で開催されました。
委員会は、構成委員42名(個人14名、団体16団体、オブザーバー 4団体、関係行政機関 8機関)のうち、 28名(個人10名、団体 9団体、オブザーバー 1団体、関係行政機関 8機関)の出席により開催されました。
今回はまず、作成が進められている「達古武地域自然再生実施計画(素案)」について討議が行われ、引き続き、雷別地区の森林再生・達古武地域の森林再生における平成17年度の調査・検討についてそれぞれ討議が行われました。
達古武地域自然再生実施計画(素案)では、実施計画の構成スタイル、再生の目標設定について活発に討議が行われました。更に、地域が抱える様々な問題については、各小委員会で広く議論されるべきであるということが確認されました。

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達古武地域自然再生実施計画(素案)について

達古武地域自然再生実施計画(素案)についての説明が事務局より行われた。

<実施計画の考え方および実施計画(素案)第1章・第2章>

(委員)

実施計画素案全体をとおして読むと、第2章の位置づけが中途半端に感じられた。アクションプランは第3章の達古武地域の森林再生の部分だけではあるが、第2章は「達古武地域全体の課題を抽出していく」という非常に重要な部分であると思うので説明をするに当たっては強調していく必要があると感じられた。

(委員)

森林再生にこだわった場合、森林保全再生の目標が弱いのではないか。目標の設定の中に「長期的な目標を設定する」とあるが、「長期的」という中で、カラマツ林をどうしていくかという方針を書くべきではないか。

(委員)

トラストサルン釧路では、基本的には広葉樹を育てて植林をしていくという計画を立てて事業を進めている。森林の保全及び再生を計画する上では、9割を占める私有地についてどういう姿勢で具体化していくかとの見通しをたてる必要があると感じられた。

(委員)

環境省の事業だけで、全域を対象に自然性の高い森林に戻していくといったことは現実的ではないと考えている。ここでは全体構想をベースに第2章を作成しており、環境省として優先度の高いところから良好な自然生態系に戻す努力をすべきであるという方針を出した。環境省の立場では、例えば域内の人工林を何年までに何ヘクタール自然林に戻すというような具体的な目標を設定することは難しいと考えている。

(委員)

再生を進めていく上では当然費用がかかり、具体的に目標を数値で示した場合には、いろいろな批判が出てくることも予想される。地域内に人工林を所有しているものとしては、「長期的な視点に立って」自然林を目指すという目標設定でいいのではないかと感じている。王子製紙としても、まずカラマツ林の間伐を推進し、整理を行い、その後、カラマツ林をどう扱っていけばよいかを検討したい。

(委員)

カラマツも一つの有効な木材資源であり、カラマツが悪であるというイメージを持たせ兼ねない書き方は避けて欲しい。

第2章のつくりは、環境省は手を広げすぎで、実施する事業の計画のところを強調すべきではないか。林野庁も今後、雷別地区の実施計画を作成していくが、森林に絞り込んだものになるので、この実施計画が森林再生小委員会のスタンダードにされるのは困る。

(委員)

各地でカラマツ林から転換を図って環境林としての機能を高める試みが始まっていることは事実であるが、この理由は生産林の機能を失ったからではなく、所有者が生産林としての価値よりも環境林としての価値が重要と考えたからである。

私有林の扱いに関する問題は、所有者の考え方を転換しなくては解決が難しい。達古武地域でも9割を占める私有林については、湿原の水辺の際まで人工林でいいのかとか、自然林に転換するとこんなメリットがあるということを大いに発信すべきだろうと考える。

(委員長)

私有林に対して具体的な数値目標を現時点で定めることは難しく、合意を得ながら進めていく必要があるであろう。

例えば、川の周りの森林についてはより生態系の豊かな方向に変えていくなど流域全体でゾーニング的な立地区分と、林分単位で施業への配慮事項を設定し、目標設定に付け加えてはどうか。

(委員)

自然再生は、そもそも生物多様性が大きなキーワードになっている。カラマツはもともと北海道には分布していなかった外来種であることを十分に認識したうえで、目標を立てるべきである。野生生物に関しても生物多様性というものをベースにおいた具体的な目標を是非検討してもらいたい。

(委員)

カラマツ林で働き生活している人々のことも考えながら進めていただきたい。

(委員長)

今後色々な地域で自然再生を進めていく上で、その地域における問題を全て抽出し、各小委員会で対応する内容について実施計画を立てていくといったスタイルでいいと思う。

達古武地域が抱える問題を洗いざらい出した上で、森林再生に関する実施計画は本小委員会で進めていくというコトでいいのではないか。省庁間を踏み越えたような形の議論が出てくる可能性も大きく、省庁間で協力していく上でもよいと思う。

(委員)

自然環境保全地域である佐賀県樫原湿原で作成された自然再生実施計画では全体構想の区域と実施計画の区域が同じである。この地域に比べ、釧路湿原は非常に広く様々な問題を抱えており、全体構想自体も幅広いものになっている。

達古武地域には釧路湿原のミニ版であるという位置付けがあるので、地域全体の問題についてどのような方向性で取り組むかをまず示した上で、森林再生の具体的な事業実施計画について記述するスタイルが適当と考えている。

実施計画のスタイルについては、定型化して考えるのではなく、その地域でどういう実施計画が必要か、場所ごとに考えていけばよいと思う。

(委員長)

他の小委員会でも達古武地域が抱える問題について議論してもらい、第2章の内容を更によくしていただきたい。

<実施計画(素案)第3章>

(委員)

第3章の中で、「伐期を迎えても伐採されず生産林としての機能が実質的に失われてきている」という部分で、もう少し前向きな書き方を検討してはいかがか。

なぜならカラマツがダメだから自然林への転換を図るのではなく、着目すべきことは、森林に期待する機能や経営の目的ということを転換し、積極的に自然林への転換を目指そうとする人たちが実際いるので、そういった人たちにデータなりを提供することで、この実施計画も意味が出てくると思う。

(委員)

現在達古武地域には中期的に残すべきすばらしいカラマツ林もあり、環境教育の場として使っていくという考え方もあっていいのではないか。

148ヘクタール全てを長期的に落葉広葉樹林に再生していくという理解でいいか。

(事務局)

長期的に「現況の森林の環境を急激に変えるようなことはしない」で徐々に広葉樹林化をしていきたいと考えている。

(委員)

長期的には落葉広葉樹林化が目標であるが、中期的・短期的には、一部のカラマツ林と尾根の母樹林等の林は残していくという理解でいいか。

(委員長)

上層にはカラマツがずうっと残り、下層に広葉樹が生えてくるという階層的に転換をしていくのであって、カラマツ林から広葉樹林に急激に変化させるものではない。

(委員)

「長期」とは何年ぐらいを考えているのか。

(委員長)

長伐期にして70年から80年くらいで材として使うのはいかがか。現在が35年生前後であれば、50年後が目処になる。

(委員)

カラマツ林を急激に広葉樹林に変えていくことはないが、広葉樹林への転換を強く意図していくということではいかがか。

(委員長)

環境省としては生物多様性の軸を忘れずにいくというスタイルを持っており、この方針でよいのではないか。

「単なる樹木個体の再生だけでなく、森林生態系の再生を目指す」という目標の評価はどのように行うのか。

(事務局)

リファレンスでの指標種とチェックしながら評価する。

(委員)

森林再生をすると達古武沼にどのような影響があるかなど、達古武地域の問題点と森林再生とのつながりに関する評価は考えられているのか。

(委員長)

樹種転換が及ぼす物質循環系の変化は、琵琶湖でヘクタール単位の皆伐を実施してようやくデータが出てくるくらいなので、このことを把握するのは難しいと思う。

現在、沼への影響として酪農業等からの窒素分の流出、作業道からの土砂流出、釧路川からの土砂逆流ということが確認されているので、こういった直接的に問題となっている部分をハッキリさせないといけない。実施計画P-20にある作業道からの土砂流出は、すでに達古武沼に直接的に影響を与えていると考えられるので、議論や了解を得る前に是非進めてほしいと思う。

評価については、作業道からの土砂流出を防ぐような直接的な影響の軽減や森林再生による生物多様性の向上といった間接的な影響の二つの観点から森林再生が果たす役割を記述してみてほしいと思う。

(委員)

シカについて、大台が原で観察されている事例等で、シカがミヤコザサの被度を軽減し、稚樹の生存率を上げる間接的な効果も知られている。単純にシカとササが全て稚樹の生育にマイナスに働くというようなことはなく、複雑な面があるので、一概に単純化しないで、モニタリング結果の評価を行った方がよいと思う。

平成17年度の調査・検討について

雷別地区の森林再生及び達古武地域の森林再生における平成17年度の調査・検討について、それぞれの事務局から説明が行われた。

(委員)

雷別地区がかつて広葉樹林であったという理解でいいか。トドマツが成長のある段階で枯れてしまうというような状況が雷別にもあてはまるのか。

(委員長)

釧路湿原全体で起こるらしい。

(委員)

1920年代の地形図には釧路湿原周辺に針葉樹の記号がない。統計的に気象条件で解析したところ結果が一致したため、釧路湿原周辺は広葉樹林であったと考えられる。更に古い町史などを調査する必要はある。

(委員)

標茶町にある京都大学演習林から、標茶町にトドマツはなかったと聞いている。

(委員)

細かく産地を特定できないが、古い伐採記録を調べると多少針葉樹も入っている。

(委員長)

皆さんの見解として、針葉樹はあったであろうが広葉樹が優占する林であったであろうと理解する。

(委員)

昔はトドマツがかなり切り出されていた。森林組合としてもトドマツの造林を奨励しており、育っているトドマツも手入れをするとちゃんと生育する。

(委員長)

森林総合研究所の方の話では、釧路湿原周辺での立ち枯れが目立ってきているということだった。

 

第4回森林再生小委員会 資料

ary02 ico_pdf12 この議事要旨の PDF 版(PDF:27KB)

ary02 ico_pdf12 会議資料(PDF:2,101KB)

 

ニュースレター

ary02 ico_pdf12 ニュースレターNo.4(表面)(PDF:1,565KB)

ary02 ico_pdf12 ニュースレターNo.4(中面)(PDF:2,570KB)

 

お問い合わせ先

釧路湿原森林ふれあい推進センター 
担当者:(所長)中島章文
ダイヤルイン:0154-44-0533
FAX:0154-41-7305

〒085-0825 釧路市千歳町6番11号
Tel:0154-44-0533 Fax:0154-41-7305

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