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第3回森林再生小委員会 議事要旨

「第3回森林再生小委員会」が平成17年 3月 8日(火曜日)に釧路地方合同庁舎で開催されました。
会議は、構成委員42名(個人14名、団体16団体、オブザーバー 4団体、関係行政機関 8機関)のうち、24名(個人 6名、団体10団体、オブザーバー 2団体、関係行政機関 6機関)の出席により開催されました。
まず委員長及び委員長代理の互選が行われ、委員長には中村太士委員(北海道大学大学院農学研究科教授)、委員長代理には金子正美委員(酪農学園大学環境システム学部地域環境学科助教授)が選出されました。その後、“平成16年度の調査・検討について(雷別地区の森林再生、達古武地域の森林再生)”、 “達古武地域自然再生実施計画骨子(案)”について討議されました。

 

委員長及び委員長代理の選出

協議会設置要綱第10条第3項に基づき、小委員会委員の互選により中村太士委員(北海道大学大学院農学研究科教授)が森林再生小委員会の委員長、金子正美委員(酪農学園大学環境システム学部地域環境学科助教授)が委員長代理に選出された。

平成16年度の調査・検討について

(1)雷別地区の森林再生について

雷別地区の森林再生についての説明が事務局より行われた。

(委員)

国有林の中が具体的な事業対象地域になるということは分かった。しかし、自然再生から見た場合、流域視点の原則というのがある。民有林も含めてシラルトロエトロ川流域全体で山の状態というのを見ていかなければシラルトロエトロ川やシラルトロ沼の保全に結びついていかないのではないか。トドマツの立ち枯れというと、塘路湖側の方の民有林でも非常に目立っている。

(事務局)

将来的にはそういうことも考えながらやっていきたい。

(委員長)

国有林以外の場所についてもシラルトロ湖流域全体を、国有林の方でスクリーニングをかけられるならばやってみていただきたい。

(委員)

渇水・洪水緩和機能とか、水質保全機能とか数値として評価されているが、どのように計算されたものなのか。

(事務局)

北海道で「森林機能の評価基準」というのがあり、細かい表に数値が載っている。例えば樹冠の状態が中で地表の状態が裸地での数値が出ている。

(委員長)

最近全国的にやられている手法である。粗い評価であるということは間違いないが詳細なデータがないため、まずはスクリーニングをかけるしかないのが現状。

(委員)

国有林であればデータなども全部揃っているが、民有地や民有林のデータは一切持ち合わせしてないため、シラルトロエトロ川流域全体についてはむずかしい。

(委員長)

この手の問題は必ず出てくる。誰かが頑張ってデータを集めていただけるとよいのだが。

(委員)

非常に詳細な調査というのは大変だと思う。しかし、GISを使ったり、空撮写真で解析し補足的に現地踏査もやり、一応の植生図はあまり手間をかけず作れる。

8個林班のあたりはもう少し広葉樹の太い木があったのではないか。

(事務局)

記録の上で針葉樹を植えた箇所はそこに書いてあるが、その後に生えてきた広葉樹は図には反映されていない。

(委員長)

国有林側では、流域内の国有林と、足りない点については加えてやっていただきたい。民有林などを含めた流域全体の評価については、金子委員と相談してやってみたいと思う。

国有林側としては8個林班の広葉樹をある程度残していくことを考えているということを確認した。

(委員)

16ページの図(地かき跡地の稚樹本数)に関して、2年経ったものは本数が非常に少なくなった。高さは多少高くなっている、というような読み方をするのか。どんな風に解釈したらいいか教えていただきたい。

(事務局)

地かき実施から1年目と2年目のプロットを比較しているが、2年目の方が稚樹本数が減っており、苗高が高くなっている。ササあり(地かき実施)とササなし(地かきせず)を比較した場合には、稚樹本数にあまり差がない。推定だが3年目には、更に稚樹本数が減ると考えられる。調査は、平成14年、平成15年にそれぞれ地かきを行ったプロットがあり、そこで今年実施した。

(委員長)

森林の再生の制限要因を整理して、どのくらいまで達すれば将来を見越す形として森林に育て上げていけるのか、といった視点でデータを見せてくれると理解しやすい。今後はそうしていただきたい。

(2)達古武地域について

達古武地域の森林再生についての説明が事務局より行われた。

(委員長)

この実験区でやっている仕事がどの程度になった段階で全体に移行していくのか。スケジュールは、どのように考えているのか。

(事務局)

実験については3年程度モニタリングしたい。それから結論をある程度予測したなかで、複数の年次スケジュールを検討していく必要があると考えている。

(委員長)

かき越こしとか地がきをやった部分で、ササがまた侵入してくることが考えられるが、稚樹を切らずにまたササを除くとか、それとも放って置くとか、一回やるだけでずうっとはやらないということか。

(事務局)

基本的には初期条件だけ揃えて侵入したあとは放っておく。という考え方でいきたい。

(委員長)

北海道の場合国有林は90%くらいは保安林化している。道有林の場合も公益的機能に100%移っている。 将来この実験のように、高い間伐率を設定する地点が、既存に保安林指定されていたり、例えば道有林に於いて公益的な機能の何かが指定された場合に、それの施業指針などに触れることはないか。

(委員)

私どもは、厚岸湖や別寒辺牛湿原、霧多布湿原といった公園区域などの中での森林作業をやっているため、大きく空間を開けられない。20%程度の間伐を繰り返している。保安林の20%、45%、といった高い伐採率は、個人的には特に保安林制度上問題は無いと思う。ただ45%というのは、皆伐指定の中でどういう位置付けになるか、それぞれ土地の管理者の立場で違うと思うが、道有林では、45%は想定していない。

私どもの管理区の中でエゾシカの被害はどの程度広がっているか、という図面を今作成中である。近々多分広がりに関してだけはもうすぐ完了かと思う。

(委員)

法律では、保安林は最高でも間伐率35%となっている。国有林では、地域管理経営計画等に基づいて森林整備をやってきている。中でも現在カラマツの下にトドマツ等を植えたりする、複層林施業というのをかなり進めてきているが、間伐率が40%や50%と高率になると、風によって倒れるおそれがある。現実に過去にも何箇所かそういう被害もあり、高間伐率というのは場所によっては難しい部分がある。

(委員長)

拡大造林期を経た現在の人工林の維持管理などの議論をしていく時に、昔決められた保安林の制度があてはまるのか疑問だ。一般的な水源涵養保安林ではなく、先の話に出た厚岸の海岸周辺にあるような特殊な森林や、強風地帯にあるような防風林など、元々森林は違う性格を持っていて、それぞれに応じて指針を考え直す必要があるのではないか。達古武においても、場所によって林の性質が違うという認識を持ち、危険な箇所では間伐率を抑えるといった対応が必要だと思う。

(委員)

湿原再生では、釧路湿原の流域全体というとこで論じなければならないと考える。そこでは、統制の取りにくい民有林の扱いを論じなければ意味が無いのではないか。

(委員)

会社有林では、経済目的というのが一つあるが、王子製紙では、森のリサイクルということをうたっており、また社会的責任も強く感じている。私どものカラマツもいずれは再生していく必要があると考えており、再びカラマツを植えるのか、広葉樹を入れるとしたらどのように広葉樹等にするのか、という課題を持ってこの委員会にも臨んでいる。会社としては方針として再生という道をこれから模索していかなくてはいけない。会社有林としてはこういったニーズに沿っていく必要があると考えている。

(委員)

針葉樹の人工林が余り機能がないという方向で理解されるのではないかと心配している。広葉樹より樹高が高くなる針葉樹は、霧を受け止めるネットの役目を果たす。そういう観点からも、今ある針葉樹の人工林は非常に大切な資源だ、という捉え方を普及・啓発していく。そういうこともこの報告書に盛り込んで欲しい。また、農地は森林に返したり、また森林で地力を養って農地に戻すというような大きなサイクルを組む必要が当然出てくるので、この点も含めて森林としての土地利用を考えていただきたい。

(委員長)

おそらくカラマツ林は、水源涵養機能や土砂流出防備機能が低いということはない。ただ鬱閉したカラマツ林だと種の多様性が低いなどという現象は起こりうる。どの地区をカラマツ林の木材生産として維持していって、どの地区を広葉樹として自然林に戻していくのか、といった区分けを具体的に議論しないといけない。

この地域で、トドマツを植えるのは適さなかったようだが、カラマツは適している樹種のように考えられる。在来種ではないが、木材生産としてカラマツ林を維持していく時も下層の部分で植生の多様性を維持しながら、林を維持していく。そんな森林を目指していく方向性もある。

その場所によってどういう形で方向性を考えていくか、ということがすごく重要ではないか。

(委員)

今まで、釧路湿原本来の生態系としての自然林という位置づけで落葉広葉樹の森林が保たれてこなかったということを不満に思う。このことが我々の(トラストサルンの)活動の出発点でもある。

カラマツが一方的に悪いとか経済林が問題だとかは考えていない。逆に、達古武の緩傾斜地のカラマツ林は非常にいい林で将来が楽しみな森であると考えている。

(委員長)

今現在カラマツの林であるということより、皆伐されるという問題の方が大きいのではないか。

(委員)

どうやったら民有林も生態系の視点で管理し、経済林としてもどういう具合にしていくかということを、官、民、市民団体、経済関係の管理している森林などに関わらず議論し、お互いに協働できる所があったら進めていければと思う。

(委員長)

情報をオープンにすることで、ある意味の粗い森林の管理に歯止めがかかるかと思う。全体的なものについてはオープンにしつつ、各主体が持たれている林について、この地区に於ける保護の重要性、保全の重要性についてアピールしていくことが一番重要ではないか。そういう意味では、王子製紙さんも委員会の席について、議論に入るということは我々にとってすごくいいと考える。

土砂流出緩和柵とは、良く使われるやり方なのか。

(委員)

枯れた木とか間伐材などを利用し設置している。富士山麓で、水の勢いを防いだり浸食箇所を止めたりという成果が上がっているので参考にしている。今後モニタリングを続けていく。

(委員)

山で、利用されない木を地表に置いたり埋めるなどすると水道が若干暴れる。暴れると大きくせん掘されるような状況にならない。

下刈りを4年5年続けると何故か広葉樹が侵入してくるという経験を持っている。明らかに萌芽や天然更新があるとわかった段階で、下刈りの手法を変えてみるとどうか。全域を下刈りするのではなく、場所によって1年休んでみるとか、翌年それがもし消えてなければ同じようにそこを観察するとか、無ければもう一度下刈りを繰り返すとかすると、ある程度成功するのではないか。1年で刈り払いを止めるということが話に出たが、1年でやめて本当にいいのかと疑問に思う。

(事務局)

地がきなどをして、稚樹の自然侵入を促進したい。その時入ってきた時にどれかを選びながら上手く下刈りができるかというのは難しいと考えている。状態を見ながら考えていきたい。

(委員)

今年、地域の種を取ってきて、刈った跡や地がきした所に播種をした。どのくらい発芽してくるか、ササを刈らないで放置した状態でどんな風に伸びていくか観察を続けていきたい。

達古武地域自然再生実施計画骨子(案)について

事務局から達古武地域自然再生実施計画骨子(案)について説明が行われた。

(委員)

住民自身が説明と同意とか、決定のプロセスに主体的に参加できるように、自分達の問題として取り組めることができるように、今後に期待をもっている。

(委員長)

実施計画は、森林再生としてまとめるのではなくて実施区域別、つまり雷別地区は林野庁、達古武地域は環境省といった実施主体別にまとめていくのか。

実施計画はあと付けで増やしていっていいのか。

(事務局)

法律では実施計画は実施者が作るものとなっている。つまり実施者が作るということしか決まっていない。実施主体が共同で実施計画を作ることは出来るのではないか。

実施計画は必要があれば変えられる。その際は協議会の承認などといった作成時と同様の手続きを踏むことになる。

(委員長)

実施計画は、個別の組織、個別の実施主体ごとに出すのではなくてなるべく大きな枠組みとして出したい。この実施計画には、達古武の保水に関する水循環の議論もはいっている。当小委員会と水循環小委員会を合同で開催し、山や湖でそれぞれ何が起こっているかということをシェアしたい。流域内を事業主体などで分けるといった細切れにはしないことが重要ではないか。

(委員)

それぞれの小さな委員会の中でお互いに考えたことは、他の関連する委員会とも一緒になって方向を決めていくべきだ。小委員会を合同でやるということは必要ではないか。

(委員)

達古武の自然再生の4200ヘクタールの範囲というのはどこを指すのか。

(事務局)

達古武川集水域と、付随する形で 3つの集水域をまとめて今回の実施計画の対象の範囲としたい。

(委員長)

この実施計画の中で森林では今現在、実験的なことを進めているが、それが実施計画になるのか、それともその先のことが実施計画になるのか。

(事務局)

試験施工というところのカッコ1 については、現在までに実施した。ここまでは、これまでの検討を踏まえて記載をしていきたい。それ以降については今後の検討になるので、全体のスケジュールを少し記載していきたい。

(委員長)

既に進めている試験施工を実施計画に入れてしまうことで、実施計画が通る前にフライングではないか、と言われる事は無いのか。

(事務局)

釧路湿原自然再生協議会立ち上げの前から、釧路湿原の流域委員会や実務会合といった中で、既にこの森林再生小委員会のような検討をしてきた。実際、協議会の中等でも経過を説明し同意を得て行っている。まだ実施計画案なので、何かご意見等があれば是非言っていただいて、次回の資料に反映させたい。

(委員)

実施計画の中では今まで実施してきたこと、まだ実験施工として続けなくてはいけないことを明確に書く必要がある。実施計画自体は承認されて以降は、3年から5年で変えていく必要がある。小委員会でご協力いただきながら、5年程度の間に実際やるべきことを実施計画の中に盛り込んでいきたい。

(委員)

同意を得ながら進めるという形が一番いい。そのためには実験が終った段階で資料を出していただき、資料を見て多少時間をかけて進める方向を考えても遅くないのでないかと思う。

(委員長)

時間をかけていい問題と、沼の水質みたいにすぐアクションを起こさないと間に合わないような議論もある。その辺の区分けが必要ではないか。

試験施工については、自然再生推進法もしくは協議会が立ち上がってやっていくそれよりも前に、釧路湿原の再生に関する議論というのは先行してやってきて、その中で実務会合でもこういった議論がされてきたという背景は当然再生法の中でも理解されて、その段階でやられたことをきちんと過去形として記載し、今後について載せるということでやれるということと理解した。

その他

(委員)

再生計画は、大体大詰めに近い状況だという風に考えている。実際の再生事業に、どこまで地域が、この協議会が或いは小委員会が携わっていくのか、方向が決まっているとすれば教えていただきたい。

実施計画も出来て承認される。あとはそれぞれの実施主体がやるという形で終ってしまうのではないか。

(事務局)

釧路湿原の協議会では、1年おきに協議会員を募集している。特に制約がなく入りたい方は誰でも入れる。地域の方が永く携わっていただいて、声を出していただくというのが、長く続けるコツだという風に考えている。

(委員長)

皆さんに特に地域の方々に末永く付き合っていただき頑張っていただく。色んな委員会で発表される実施計画、実施経過を監視し、現地の視察などにも関わってもらい、常に監視していただく。監視とは、いい方向を目指すようにお互いの知恵を絞るという意味。完全に任せてしまわないというのが重要ではないか。

 

第3回森林再生小委員会 資料

ary02 ico_pdf12 この議事要旨の PDF 版(PDF:33KB)

ary02 ico_pdf12 a. 表紙、議事次第、名簿、目次(PDF:11KB)

ary02 ico_pdf12 b. 雷別地区の森林再生について(PDF:2,998KB)

ary02 ico_pdf12 c. 達古武地域森林再生について(PDF:1,300KB)

 

ニュースレター

ary02 ico_pdf12 ニュースレターNo.3(表面)(PDF:1,982KB)

ary02 ico_pdf12 ニュースレターNo.3(中面)(PDF:1,970KB)

お問い合わせ先

釧路湿原森林ふれあい推進センター 
担当者:(所長)中島章文
ダイヤルイン:0154-44-0533
FAX:0154-41-7305

〒085-0825 釧路市千歳町6番11号
Tel:0154-44-0533 Fax:0154-41-7305

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