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第2回森林再生小委員会 議事要旨

第2回森林再生小委員会が平成16年6月15日、塘路住民センターで開催されました。委員会には構成メンバー(個人14名、団体11団体、オブザーバー 5団体、関係行政機関 8機関)のうち、25名が出席しました。
今回は、午前と午後に分けて委員会を開き、現地視察も行いました。午前の委員会で達古武地域の森林再生に取り組んでいく NPO法人トラストサルン釧路の自然保護地と人工林を自然林に再生するための実験を計画している環境省のカラマツ人工林を視察しました。午後からは、再び塘路住民センターで委員会が開催され、雷別地区の森林再生について報告が行われました。その後、現地視察を踏まえた上で、人工林から自然林への再生、エゾシカの被食対策等について、活発な質疑が交わされました。
このほか、釧路湿原流域全体の森林再生や全体構想との関わりなどについても協議が行われました。

 

平成15年度の調査・検討結果及び平成16年度の調査・検討方針について

環境省が実施している達古武地域、北海道森林管理局が実施している雷別地区について報告が行われた。また、達古武地域については、平成16年度から試験的に事業を実施するモデル地区2箇所(自然林再生実験を検討している環境省所管のカラマツ人工林とNPO法人トラストサルン釧路の自然保護地(通称:達古武24))の現地視察を行った。これら各事業の報告と現地視察を踏まえ、以下のとおり協議が行われた。

1. カラマツ人工林での自然林再生実験計画について

(委員)

環境省のカラマツ林について、100年のカラマツ林にしたら素晴らしいと思う。そういった場所も残しつつ、それを対象区としながら、実験的に広葉樹を入れていくことを考えたほうが良いのではないか。

カラマツ林の実験では条件を揃えた実験区を作り、稚樹が育たない原因がシカの採餌圧の影響なのかをはっきりさせる必要があるのではないか。

(委員)

今回カラマツ林では、いろんな試験区を設けるとのことだが、択伐的に切るのか、群状に穴をあけて切るのか、スパッと切るのか具体的な説明がなされていない。ミズナラに関しては萌芽更新をかなりする樹種だと考えているが、もう少し様子を見てからやった方がいいのでは。

(委員)

カラマツを立派に育てつつ、尾根の母樹林から広葉樹の森林化を促して、広葉樹林に移行したいと、大方針として考えている。そのために必要最低限どのように手を加えたら効果的に広葉樹に移行するのかを調査のみでなく、ある程度手を加えて、実験していかないと答えが見えてこない。

間伐率や方法については、現在検討中ではあるが、本委員会の意見も反映させながら、現場でも更に精査したうえで、早ければ9月頃から実験を始めていきたい。

結果については、2、3年あるいは数年掛けないと見えてこないものもあると思う。全体の計画については、今回の実験結果を見ながら考えていきたい。

(委員長)

実験については、現地の「稚樹の有無」、「エゾシカの被食圧」、「林床のササの問題」、「母樹からの距離」など4つ位を基軸として考えられているとこのことで、これについては良いかと思うが、具体的な方法については、個別によく携わられている先生方や、実際に施業に携わっている方々のコメントを聞いて、この大筋のラインから離れなくて、しかも土砂が出るようなことをしないという前提であれば、問題はないと考える。

(委員)

いずれは更新して広葉樹、或いは針葉樹も入っていた自然の林に戻っていき、多様な生き物が生きられる林になってほしいと思う。

(委員)

最終的に、釧路湿原にとってよい働きかけができる森を作るにはどうしたらいいかという立場で考えていけばいいと思う。

(事務局)

この実験計画が実施されれば、ある程度のカラマツ材が出る。今年改修が行われる達古武木道に、達古武から出た材がうまく回ればいいと考えている。

(委員)

知床100平方メートル運動地などでは、カラマツ間伐材を使って防風柵と防鹿柵を作っている。コストは掛かるが、苗畑の防鹿柵なども含めて検討していただきたい。

2. エゾシカ対策について

(委員)

シカ対策については、こうすれば大丈夫だという決定打は、最初からないと考えた方がよい。道立林業試験場等でのエゾシカの保全・管理の研究では、稚樹が大体30cmを超え、シカの生息密度が高ければほとんど全滅することが判っているので、シカ密度の指標を何らかの形で採らないと、今後のモニタリングが不十分になると思う。

(委員)

シカの影響は一番大きいが、最近ウサギが随分増えてきて、シカ柵関係なしに食べられている。今日視察した場所でも、ウサギ・ネズミの両方に喰われていた。十勝三股では、シカ対策として大きな防鹿柵の中に、決して飛び越えられない2m四方位のフェンスを作っている。

苗木については、根が3年経っていて、地上部が1年という3分の1苗の方が、山に植えるとき活力があってよく伸びることがある。

現地の広葉樹の多くがヒコバエになっている。このままでは良い木になっていかないし、種子の実りも悪い。1本にして明るくすれば、枝ぶりも良くなり、種子も実りやすくなる。また、林床に光が通って、他の木も生えてくるようになるのでヒコバエだけはきちんとした方が良いと思う。

(委員)

カラマツ林の母樹帯のアオダモなどの樹皮がシカにかなりやられているが、とりあえず喰われないようにネットを巻くなど、母樹の保護を早急に実施する必要はないのか。

(委員)

カラマツ林の母樹を生かして徐々に広葉樹林化するのであれば、シカから母樹を守るような対策が必要だと思う。

3. モニタリングについて

(委員)

指標を用いての評価、モニタリングを行うことは大事なことだと思う。例えば河川の蛇行復元でいうと、今の生態系のままでも良いのではないかという意見がある。今後こういうものも参考にしていきたいので、今回の指標調査で、どういう優位性が判ったのかを教えてほしい。

(事務局)

生態系の機能は指標としてはかなり難しいものなので、とりあえず目標とするような場所の森林で、どういう生き物がいて、どういう状態なのかというのを見て、それに近づけていくのがひとつの評価だと思う。

(委員長)

自然再生を機能論でやってしまうとあまり良くない。元々あった多様な生態系に戻すという前提があって、その結果として色々な生物が棲める場所ができるという評価の仕方のほうがいいと思う。

(委員)

生物の多様性の保全というのは、単に生物の種が多ければいいということではなく、過去の生物の多様性を理想の形として、それに近づけることだと思う。森林の生物の多様性だけに注目するのではなく、草原性の種や水辺の生物の多様性についても考慮したらいいのではないか。

4. 達古武地域内の民有林について

(委員)

日本製紙は標茶町側に260ヘクタールほど社有林を持っている。現在、9割以上がトドマツ、エゾマツの人工林という施業体系となっているが、今後の経営方針としては自然の力を利用して元の天然林に換えていきたいという基本計画でやっている。その為、間伐を行いながら、その中で生えてきた広葉樹はそのまま残存木として保存していく経営をしている。

(委員)

達古武地域にある王子製紙の社有林については、機能的に保全林として位置づけている。保水力、土の保持力などの優れた森林、下層植生の発達した森林を目標としている。今後は、カラマツ人工林を広葉樹の入った針広混交の複層林へ誘導することを検討したい。

釧路湿原域全体の森林再生と全体構想との関わり

(事務局)

自然再生を考える上で、流域全体のことが重要ではないか。どこに森林が残されているか、どこが失われてきたか、なぜ失われたか、影響はどのように出ているか、どこを優先しなくてはいけないかなどを釧路湿原流域全体できちんと整理する必要がある。その為の資料として今はまだ粗いデータしかないのが現状。もっと整理して、しっかり流域の議論ができるようになればいいと思う。

(委員長)

全体構想作成のワーキンググループでは、今どこで、何が問題なのかを明らかにして、それに対して個々の処方箋を作るような、仕組みのストーリーを組み立てて全体構想を作ろうとしている。ただ個別に見ると人為的な影響によって変化した場所とか、土砂の問題とか、水位が下がっているとか、湿原・森林・河川について、開発時期が違うことなど異なった要因があり、個々の場所では目標にする年代も変わってくる。しかし、これらをバラバラに捉えていくと問題があるので、最終的に収斂する場所は釧路湿原の保全からズレない形で、全体構想をまとめていくことになっている。

 

第2回森林再生小委員会 資料

ary02 ico_pdf12 この議事要旨の PDF 版(PDF:130KB)

ary02 ico_pdf12 a. 表紙、議事次第、委員名簿、目次(PDF:22KB)

ary02 ico_pdf12 b. 平成15年度の調査・検討結果及び平成16年度の調査・検討方針について(PDF:1,051KB)

ary02 ico_pdf12 c. 釧路湿原流域全体の森林再生について(PDF:181KB)

ary02 ico_pdf12 d. 全体構想との関わりについて(PDF:219KB)

ary02 ico_pdf12 e. 達古武地域・森林再生モデル地区(カラマツ人工林)調査マップ・実験区(案)位置図(PDF:4,063KB)

 

ニュースレター

ary02 ico_pdf12 ニュースレターNo.2(表面)(PDF:889KB)

ary02 ico_pdf12 ニュースレターNo.2(中面)(PDF:1,003KB)

お問い合わせ先

釧路湿原森林ふれあい推進センター 
担当者:(所長)中島章文
ダイヤルイン:0154-44-0533
FAX:0154-41-7305

〒085-0825 釧路市千歳町6番11号
Tel:0154-44-0533 Fax:0154-41-7305

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