利尻島発!GSS活動日誌(2019)
令和元年8月29日(木曜日)くもり
「雨後の登山道」
もうすぐ9月を迎える利尻島。8合目以上まで登ると、気温は一ケタまで下がるようになりました。木々や草花は冷たい雨に打たれ、静かに秋を迎えようとしています。
今回は雨の日の登山道について紹介します。雨の日の利尻山登山道はどのような状況になっているか皆さんはご存知でしょうか。
登山道
写真は、渓流ではなく登山道です。
8月2日付けブログで紹介していますが、利尻山は火山礫のもろい土壌で形成されています。
また、腐食土壌が薄いため、大勢の登山者が歩行することによって、年々浸食・土壌流出が進んでおり、雨が降ると水を蓄えることができず、そのまま下方へ流れています。
石段
丸太段
そのため、利尻山登山道等維持管理連絡協議会では、石や丸太など自然の素材を利用した階段等の工作物を設置しています。
水の流れを弱め、浸食を緩和するために丸太を設置して登山道外への排水処理を行っています。
登山道
しかし、毎年8000人に上る登山者の利用により、残念ながら浸食は止まるどころか、年々酷くなってしまっています。
そこで、皆様にお願いしたいことが2つあります。
1.ぬかるみ対策にスパッツを着用し、水たまりなどを避けるための路肩歩行は行わないこと。
2.利尻山登山に訪れる方、ひとりひとりがこの問題に対し何ができるか考えること。
*利尻ルール(保全のためのお願い)についてはこちら
http://www.town.rishirifuji.hokkaido.jp/rishirifuji/1398.htm(利尻富士町HP)
(お知らせ)
雨天が予想される日は、気温の低下や強風に備え、雨合羽は必携ですが、加えて、防寒着や着替え、携帯カイロ、そして十分な食料、温かい飲み物などが必要です。
また、日の入りが徐々に早まっているため、ヘッドライトも必ず持参して下さい。
令和元年8月20日(火曜日)
鴛泊・沓形コース巡視
8月後半を迎えた利尻島では、賑やかな鳥やセミの鳴き声が落ち着き、吹く風が冷たくなりつつあります。
最近曇りの日が多く、島を訪れるハイカーは島の雄大な展望が望めず、残念だという声を多く聞きますが、曇りや雨の日に来たからこそ感じる森の匂いや声に耳をすまし、動物や木々、草花からのメッセージを受け取る時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
曇り空からの束の間の晴れ間、秋の花や実りを紹介します。
(沓形コース)
沓形コース8合目付近より山頂部
リシリブシ((利尻附子)沓形コース・利尻島や礼文島等に分布)
(鴛泊コース)
山頂部は雲に覆われる日が多いです。(鴛泊コース8合目長官山より)
この時期、花火のような実をつけたセリ科植物が見られます。
野鳥の森(鴛泊コース4合目)
是非、雨や曇りの日は、木々や動物・植物に囲まれた静かな時間を過ごしてみては如何でしょうか。
令和元年8月2日(金曜日)晴れ
「利尻ルール紹介」
利尻島ではコエゾゼミが鳴き始め、島内はお祭りで賑やかになる8月を迎えました。
今回は利尻山の自然環境を守るための「利尻ルール」を紹介します。
そのルールとは
1 携帯トイレを使うこと
携帯トイレセット
携帯トイレブース
2 ストックにゴムキャップをつけること
ストックキャップ
3 植物の上に座らない、踏み込まないこと
靴踏み込み例
の3つです。
最北の日本百名山である利尻山では、年間約8千人の登山者が訪れ、し尿問題(悪臭、水質・土壌汚染)や登山道の浸食・荒廃(火山礫の土壌は手で触れるだけでボロボロ崩れ落ちるほどもろい)が問題となっています。
携帯トイレブース以外での排泄、休憩・写真撮影時の植生への座り込み、荷物の投げ置き、融雪・降雨後にぬかるみを避けて歩行することにより、利尻山の植物や土壌は大きなダメージを受けてしまいます。
利尻山は幾年もの時間をかけて、植物や動物たちが順応できる自然環境になりました。
その貴重な場所にお邪魔している私たちにより大切な自然環境を踏みつぶしていけないと考えます。
各関係者の協力により登山道整備を進めていますが、利尻山を訪れる登山者ひとりひとりの「利尻ルール」の遵守こそが、貴重な自然環境の保護になりますので皆様のご理解とご協力をお願いします。
利尻ルールについての詳細はこちら(利尻富士町HP)
お問合せ先