別寒辺牛(べかんべうし)生物群集保護林
1.設定目的
北海道東部太平洋側に位置し、ラムサール条約にも登録されている別寒辺牛川流域特有の湿地や湿原などに見られる地域固有の生物群集を有する森林を保護・管理することにより、森林生態系からなる自然環境の維持・周辺湿原の保全、野生生物の保護、遺伝資源の保護、森林施業・管理技術の発展、学術の研究等に資することを目的とする。
【左上】 保護林の遠景。広大な湿原生態系を形成している。 【右上】 ハンノキ等の先駆種が侵入している箇所もある。 【左下】 タンチョウの成鳥と幼鳥 |
2.設定の経緯
- 平成5(1993)年4月1日に、「別寒辺牛タンチョウ生息地保護林」として設定された。
- 平成30(2018)年4月1日の保護林再編の中で、「別寒辺牛生物群集保護林」として設定された。
参考
- 平成5(1993)年6月1日に、渡り鳥の集団渡来地として国指定鳥獣保護区(国有林を含む湿原の一部は特別保護地区)に指定された。
- 別寒辺牛湿原及び厚岸湖の国指定鳥獣保区特別保護地区(別寒辺牛湿原の一部は国有林)の一部は、低層湿原、大規模オオハクチョウ・ガンカモ渡来地、タンチョウ繁殖地として、平成5(1993)年6月10日に「厚岸湖・別寒辺牛湿原」としてラムサール条約に登録された。
3.所在地 (関係森林管理署)
- 川上郡 標茶町、厚岸郡 厚岸町 (根釧西部森林管理署)
4.面積
2,411.59 ha
5.位置図
6.現況
【植生現況】
- 湿原は低層湿原が広く見られ、ハンノキおよびヤチダモの侵入が見られる林分や草本類(ヨシ-イワノガリヤス)が優占する林分が見られる。
- ハンノキおよびヤチダモの侵入が見られる林分では木本は草本類のマウンド上に生育しており、林床の一部は水面となっている。
- 植生調査により、ネムロブシダマ、キタノコギリソウ、シコタンキンポウゲ、オオバタチツボスミレ、ネムロスゲなどの生育を確認した。
(平成22(2010)年度調査結果による)
【動物現況】
- 哺乳類では、エゾシカ、キタキツネ、エゾトガリネズミ、エゾヤチネズミ、エゾタヌキなどが確認された。
- 鳥類ではタンチョウのほか、チュウヒなど計38種の鳥類が確認され、タンチョウの抱卵も確認された。
(平成22(2010)年度調査結果による) - 鳥類調査では、繁殖期調査(6月)に8目19科31種、越冬期調査(10月)に5目11科19種、合計9目23科42種の鳥類を確認した。
- 確認種のうち、着目すべき鳥類は、タンチョウ、エゾライチョウ、オオジシギ、オジロワシ、チュウヒ、ハイタカ、オオアカゲラ、クマゲラの5科8種を確認した。
- 当該保護林内でもタンチョウの生息、繁殖が確認され、ペア鳴き交わしや採餌、周辺牧草地での若鳥の採餌を確認した。
(平成27(2015)年度調査による)
7.法指定等
水源かん養保安林、保健保安林、鳥獣保護区特別保護地区(ラムサール条約湿地:別寒牛湿原 478.43ha)、鳥獣保護区
8.取り扱い方針
(1) 地帯区分は、全域保存地区とし、原則として人手を加えずに自然の推移に委ねることとする。
(2) 今後も関係各機関と協力しつつ、保護対象種の生息・繁殖に伴う利用状況について情報を整理し、適正な維持管理を行っ
てゆく。
(3) 必要に応じて行うことができる行為
ア 学術の研究、自然観察教育、遺伝資源の利用その他公益上の事由により必要と認められる行為
イ 山火事の消火、大規模な林地崩壊・地すべり・噴火等の災害復旧及びこれらに係る予防的措置等、非常災害に際して必要
と認められる行為。
ウ 鳥獣・病害虫被害及び移入種対策として必要と認められる行為
エ 学術の研究、自然観察教育等のための軽微な施設の設置
オ 保全利用地区等における枯損木及び被害木の伐倒・搬出
カ 標識類の設置等
キ その他法令等の規定に基づき行うべき行為
お問合せ先
計画保全部計画課ダイヤルイン:050-3160-6283