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北海道森林管理局

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    北海道森づくり現地検討会を開催(平成26年10月3日)


    北海道森づくり現地検討会を開催

    北海道内の森林(人工林)では今後、植栽木が成長し伐採時期(主伐)を迎える林分の増加が見込まれ、それに伴い伐採後の植栽(更新)面積も増えることが予想されています。

    森づくりにかかる総コストにおいては、地拵え、苗木の植栽(造林)、下草の刈り払い(下刈り)・除伐等の保育作業等にかかる費用(=育林費)が全体の約8割を占めています。森づくりを低コストで進めていくに上では、この育林費をいかに低減するかが重要です。

    このため森林技術・支援センターでは10月3日(金曜日)に「低コストな森づくりにつながる技術の普及と情報の提供」を目的に上川北部流域森林・林業活性化協議会との共催で、民有林関係者を主に対象とした「北海道森づくり現地検討会」を士別市内の国有林で開催しました。

    当日はあいにくの雨模様となりましたが、北海道、市町村、林業事業体、森林組合などの民有林関係者と国有林の森林管理署等から約70名の参加で、当センターが取り組んでいる「コンテナ苗植栽試験地」及び「天然更新補助作業試験地」の視察と現地での意見交換等を行いました。



    北海道森づくり現地検討会を開催

    コンテナ苗の活用で保育費用を削減 

    「コンテナ苗植栽試験地」では平成23年度から、マルチキャビティーコンテナで育苗した苗木(=コンテナ苗)と普通苗木(=裸苗)の植栽試験を(独)森林総合研究所北海道支所と共同研究で行っています。

    コンテナ苗による植栽作業は、苗木に培地がついたまま植え付けられるので、植栽時期を選ばず(土壌の凍結時期を除く)、専用の器具による効率的な植え付け作業が可能で、活着がよく、成長が早いことから造林・保育コストの低減につながると期待されています。

    「コンテナ苗植栽試験地」









     

    試験地には、北海道における造林の主要樹種であるトドマツ、アカエゾマツ、カラマツ、グイマツをコンテナ苗と裸苗でそれぞれ植栽してあり、成長状況などを直接比較、確認できるようになっています。

    現地では当センターの所長が試験地の林況と取組の概要、コンテナ苗と裸苗の植栽作業の功程や成長状況について解説を行いました。

    この試験地ではカラマツのコンテナ苗の成長状況が特に良いことから、この植栽列を中心に案内し、成長の早さ、活着の良さなどを参加者の皆さんに実感してもらい、これらにより下刈り回数等を削減することができ、コストの低減につながることへの理解も深めてもらいました。

    また、北海道庁森林整備課主査からは、民有林でのコンテナ苗活用の取組についての情報提供をしていただきました。 

    試験地には、北海道における造林の主要樹種であるトドマツ、アカエゾマツ、カラマツ、グイマツをコンテナ苗と裸苗でそれぞれ植栽してあり、成長状況などを直接比較、確認できるようになっています。










    天然更新+補助作業で植栽費を削減 

    苗木を植栽せず、母樹から落下した種子から自然に樹木が育つ力を利用した森づくりを「天然更新」、このような自然木が育ちやすいように地表を処理することなどを「天然更新補助作業」といいます。

    ここでは、「天然更新補助作業試験地」において、当センターの所長が「レーキ」を装着したブルドーザで笹をはぎ取る「地がき」作業を行った箇所と、この方式に対して土砂流出などの環境負荷の低減を図るために「ブラッシュカッター」という粉砕器を装着したバックホウ(パワーショベル)による笹の粉砕作業を行った箇所を比較し、説明しました。

    苗木を植栽せず、母樹から落下した種子から自然に樹木が育つ力を利用した森づくりを「天然更新」、このような自然木が育ちやすいように地表を処理することなどを「天然更新補助作業」といいます。

    ブラッシュカッターで作業を行った試験地は、笹の根茎を直接剥ぎ取らないため処理後の植生回復が早く、天然更新木のほとんどはこれらに被圧され、この植生高を超えられずに枯れて消滅してしまっており、現在では天然更新木がほとんど見られません。

    一方、「対照区」であるレーキ付きのブルドーザで「地がき」を行った試験地については、レーキの爪でササを根茎からはぎ取っているため、処理後の植生回復が遅く、その間にカンバ類を中心に、平均樹高4mに育った1ha(100×100m四方)あたり約2万本の天然木が生育しています。

    この地がき作業は3mの筋幅(押し幅)を処理していますが、もう少し押し幅を広げると更新した稚幼樹がササ等の被圧の影響を受けずらくなりさらに良い更新結果になったのではないかとと考えており、その旨も説明しました。

    また、上川総合振興局上川北部森林室主査からは広葉樹二次林「かき起し」試験林について情報提供をしていただきました。

    天然更新を確実に、効率よく進めるためには、地表処理後の笹などの植生の回復をいかに遅らせ、稚樹の生育する時間をどれだけ稼げるかが重要です。  

    天然更新を確実に、効率よく進めるためには、地表処理後の笹などの植生の回復をいかに遅らせ、稚樹の生育する時間をどれだけ稼げるかが重要です。

    今後の天然更新補助作業においては、バケットを装着したバックホウでササの根茎を切断し、確実に処理をする地表処理を行うことで天然更新の確実性を向上させ、植栽経費を削減した低コストでの更新が実現できると考えています。  

    今後に向けて

    森林・林業の再生のためには、更新と育林コストの低減は非常に重要です。

    今回の現地検討会では民有林と国有林の関係者が参集し、新たな育林技術であるコンテナ苗及び天然更新補助作業の試験地視察と意見交換を通じて今後の方向性などについて共有を図ることができ、大変有意義なものとなりました。

    森林・林業の再生のためには、更新と育林コストの低減は非常に重要です。

    森林技術・支援センターでは、これからも民有林と国有林のさらなる連携を図り、民有林への技術支援に取り組んでいきたいと考えています。

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    お問合せ先

    森林技術・支援センター

    〒095-0015
    北海道士別市東5条6丁目
    TEL 0165-23-2161
    TEL 050-3160-5755(IP)

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