このページの本文へ移動

中部森林管理局

    文字サイズ
    標準
    大きく
    メニュー

    天生(あもう)湿原GSS活動日誌(平成30年10月)

    天生湿原GSS活動日誌 

     

    10月の記事

    ◇過去の記事◇

    平成30年9月

    平成30年8月

    平成29年

    平成28年

    平成27年

     

     

    平成30年10月30日(火曜日)

    こちら、カラ谷沿いのカツラの大木です。
    「カラ谷」の名の通り、普段は水が流れておらずカラカラで、融雪期や台風・大雨の時にのみ、急激に水量が増えます。
    水量が増えると、激流がカツラの根元の土砂を浸食してしまい、倒木の原因になったり、木の衰弱につながります。


    カツラの木を守る為に、大きな石を根元に集め、浸食を防ぐ作業を行います。


    「カラ谷」の様子を上流から追って紹介します。
    「カラ谷」と名付けられていますが、カツラ門~木平分岐の上流付近までは、ほぼ通年水が流れています。


    ところがカツラ門の上流100m付近で、下の写真、画面中央辺りを見て頂くとお分かりかと思いますが、
    忽然と水流が消失してしまうのです。(写真手前が上流側、写真奥が下流側です。)
    とても不思議な現象です。
    原因はこの地域にいくつかある、断層でないかと考えられています。
    つまり地震活動などにより生じた断層面で地層が破砕され、その部分に水が浸透しやすくなっているということです。


    カツラ門の下流では水は全く流れていません。(増水時のみ激流となります。)


    カラ谷分岐(木橋のある辺り)では再び水が流れ、水量も多くイワナの姿もよく見られますが、
    これはすぐ上にある湿原(ミズバショウ群生地)から流れてきたものです。
    つまり、ここで見られる水流はカラ谷本流のものではありません。
    このように、天生の「カラ谷」は、一般的な谷川とは様子が違いますね。

    平成30年10月29日(月曜日)

    湿原の周りには、イノシシやニホンジカによる食害から貴重な植物を守る為、電柵を設置しています。
    本日は、雪が降る前に電柵の撤去作業を行いました。


    電柵撤去作業中に出会った昆虫をご紹介します。
    こちらは『スゲハムシ』です。
    ご覧の通りの金属光沢。
    紫色、青藍色、赤銅色 等々 個体によって色彩変異に富み、まさに「動く宝石」です。
    大きさは、わずか7~8mmですが、拡大してよく観ると納得できますね。


    こちらは『ツヤアオカメムシ』です。
    艶のある緑色一色(ほとんど無地)で、あまり見かけないカメムシなのでカメラを向けました。
    調べてみると、暖地に多いカメムシのようです。
    なぜ天生のような寒冷地にいたのか不思議です。
    カメムシは身を守る為に悪臭を放つものがほとんどです。
    その為「ヘクサンボ」「ヘクサムシ」「ヘコキムシ」「ヘッピリムシ」・・・いかにも「クサい虫」らしさがにじみ出ていますね。
    ちなみに、天生峠の麓、白川村では「ドンダ」と呼ばれていましたが意味不明です。
    又、兵庫県や岡山県の山間部では「ガイダ」「ガイザ」と呼ばれているようです。

    平成30年10月25日(木曜日)

    ブナ探勝路は名前が表すようにブナの大木が林立し、四季を通して魅力的な景観が楽しめる登山道です。
    今は紅葉も終わり、落ち葉が地面を覆いつくそうとしています。
    写真はブナの落ち葉に埋め尽くされた登山道の一部です。
    落ち葉が大量に積り、数年の間には、深さが数10cmになる所もあります。
    この落ち葉の層に雨水が大量に貯められ、貴重な水源になったり、豪雨による災害などを防いだりします。


    登山道沿いには、樹木の冬芽の面白さが目を引きます。
    こちらは『トチ』の木の越冬芽です。
    小さな昆虫が写っていますが、これはトチの冬芽の表面を覆っている粘液にくっつき、動けなくなったものです。
    この粘液は大切な冬芽を食害する昆虫などから身を守る為に役立っているのでしょう。
    冬芽の表面に赤茶色の部分がありますが、これは冬芽の内部を有害な紫外線から守るための色素です。
    トチ以外の樹木の冬芽も、同じように赤茶色をしたものが多くみられますが、やはり同様の目的でしょう。


    ヒメモチの赤い実です。
    この果実は9月28日のブログでも紹介しましたが、枝の先端がちぎれていて、冬芽の部分が見えていなかったので再び掲載してみました。
    ヒメモチは雌雄異株なので、実が付いているのはもちろん雌株だけです。


    こちらはヒメモチの冬芽です。
    花芽と葉芽が同時についており、来春に花が咲いて実をつけます。
    実が出来た後に新芽が伸びた様子が前の写真から良くわかります。
    ですから、ヒメモチは赤い実が先端ではなく、下の方についているのですね。

    平成30年10月23日(火曜日)

    天生湿原を下った所にある通称「小湿原(しょうしつげん)」は地形の関係もありますが、独特の景観を見せてくれます。
    10月下旬となり、ほとんどの広葉樹は紅葉して色づくか、落葉しています。


    落葉性の高木にもかかわらず、この時期にまだ緑色の葉をつけたままの木があります。
    『オヒョウ』の木です。
    オヒョウは、北方系の樹木ですから、寒さには強いはずです。
    ですから、低い気温でも光合成をし易いのかもしれません。
    低温でも光合成できる植物の代表にハンノキの仲間があります。
    特に高山植物でもあるミヤマハンノキは気温5~6℃でも光合成ができます。
    落葉するギリギリまで紅葉せず、緑のままで落葉するそうです。
    もしかすると、オヒョウの木も同じように緑色のまま落葉するのかもしれません。
    …そんな事を考えながら写真を撮っていると、ヒラヒラと緑色のオヒョウの葉が1枚落ちてきました…。


    こちらは、緑色のまま冬を越す植物です。
    『フユノハナワラビ』(シダ植物ハナワラビ科)です。
    日光を受けて栄養を作る栄養葉(下部の濃い緑色の葉)と、
    胞子をつける為の胞子葉(上部に向かって伸びている黄色の部分)にハッキリと分かれている、
    面白い特徴を持つ植物です。スギナとツクシの関係と同じなのでしょう。
    冬でも青々とした葉を付けていることや、花のようにも見える胞子葉を寒くなる頃に伸ばすことから、昔から縁起の良い植物として
    栽培されることも多いようです。そのせいか、採集されることも多く、絶滅危惧種に指定されるなど、数を減らしている植物の一つです。
    天生では、場所は限定されますが、あちこちで見ることができます。


    こちらも緑色のままの『マンネンスギ』です。
    シダ植物の仲間ですが、ヒカゲノカズラ科に属します。
    マンネンスギという名前は、杉の葉に似ていて、一年中=マンネン、緑色(常緑)だから…ということですが、
    よく考えるとスギはもともと常緑樹なのですから、ちょっと変な命名のようにも思われます。

    平成30年10月20日(土曜日)

    本日の天生は朝から雨模様でした。
    雨模様にもかかわらず、駐車場には沢山の車が…。


    気の合う仲間同士で天生を訪れてくださっています。
    写っている皆さんには、ブログ掲載の承諾を得ています。


    登山者の方はカッパを着て、雨の中の小湿原を楽しまれています。


    ほとんどの木々は葉を落としてしまいましたが、しっとりと落ち着いた黄色のカエデが雨の小湿原を演出しています。


    冬の装いをまとった本日のカツラ門です。
    あの夏の陽に輝いていた緑の情景はどこへいってしまったのでしょう…(少し気取り過ぎましたネ)


    コケの蒴柄(胞子のう)に付いた水滴です。
    周りの風景が写り込んでいますが、コケも風景を楽しんでいるのかもしれませんね。


    こちらも写り込んだ世界…あなたはどんな情景を想像しますか?

    平成30年10月18日(木曜日)

    本日の天生湿原の様子です。
    紅葉真っ盛りです。


    天生周辺にはアザミの仲間が3種類確認できます。
    こちらは『フジアザミ』です。
    日本ではアザミの種は100種ほどあるようですが、その中でもフジアザミは一番大きな花をつけます。
    天生峠までの国道360号線沿いに、一際存在感を放っています。


    フジアザミ…ボンボリのようなアザミ色のこの存在感!!


    こちらは『シロバナフジアザミ』です。
    アザミ色のものがほとんどの中、白色は大変珍しいです。


    こちらは『ノリクラアザミ』です。
    アザミの中でも、葉切れ込みがほとんど無く、触っても痛くないのが特徴です。


    こちらは『ヒダキセルアザミ』です。
    アザミの種は、進化の過程にあるものが多い為、各地域名を冠した品種名が多くなっています。
    本日紹介している3種も、富士(富士山近辺で最初に名付けられた模様)、乗鞍、飛騨、と地域名が付けられています。


    ヒダキセルアザミ…夏の花盛りを過ぎ、この時期には来年の葉をつけています。
    ロゼッタ状の新葉を確認することができます。

    平成30年10月10日(水曜日)

    山道を歩いていると「不思議な生き物」や「不思議な現象」に出くわす事があります。
    天生の森を訪れる目的は、登山・湿原の散策・植物観察など様々でしょうが、観る対象を少し変えてみるのも新発見があって面白いものです。
    こちらは少し珍しい昆虫『ヒメツチハンミョウ』です。
    おなかの部分(腹部)がボッテリしていて、中途半端な羽のようなものがあり、牛の角を思わせる触角が目立つ奇妙な昆虫です。
    動きがモタモタしていて飛ぶ事もできないようです。
    「こんなんで生きていけるのかな・・・」と心配になるくらいです。
    ところが、この虫には必殺の特技があるのです。
    身の危険を感じると、関節部分から猛毒のカンタリジンという化学物質を出し、死んだふりをしてビクともしなくなります。
    もちろん、鳥やトカゲなども食べようとはしないようです。
    見かけても絶対に触らないでくださいね。


    こちらは恐らく『カゲロウ』などの仲間の幼生だと思います。
    カワゲラの幼虫にも見えますが、水もない乾いた登山道上の落ち葉の中に潜んでいました。
    川の中で見かける生き物のイメージが強いので、不思議に思いカメラを向けました。


    こちらは『ヒメヘビイチゴ』の葉です。
    特に珍しい植物でもないのですが、いつも不思議に思っている事があります。
    写真を見て頂くと、葉の縁の部分に水滴が沢山くっついているのがわかります。
    「昨日雨が降ったか、朝方に露でも降りたのだろう」と思っていましたが、どうも不自然なのです。
    お気づきでしょうか?周囲の他の植物の葉には全く水滴がついていないのです。
    気になり始めてから注意して見ているのですが、いつも同じようです・・・なぜでしょうね?

    平成30年10月4日(木曜日)

    こちらは『ホウキタケ』の仲間です。
    サンゴのように、枝状に分岐する独特な形のキノコです。
    色も形も様々で、分類的にもはっきりしないものも多いようです。
    食用にされるものもあるようですが「よく似た形で有毒なものも多い…」と書いてある事もあり「ちょっと食べてみようかな…」という気にはなりませんね。


    マメホコリと呼ばれる変形菌の仲間、もしくはホコリタケの仲間です。
    この類のキノコは小型で、生育状態による差も大きく、種類を断定するのは難しいですね。
    はっきり言ってお手上げ・・・でも、だからこそ面白くて奥が深いのかもしれません。


    『ナヨタケ』かと思われます。
    ヒョロヒョロと背が高いですが、なんともキノコらしい姿で、なぜかホッとします。
    でも、食用になるかは不明です。


    『ガンタケ』かと思われます。
    テングタケの仲間らしく、傘の部分に多数のイボを付着させています。
    童話の世界に登場しそうな典型的なキノコの姿です。
    傘が開くと平らな円盤状になり、テングタケらしくなります。
    図鑑では「食可」との記載がありますが、注意書きとして「生食は毒」とあります。
    …やはり、やめておいた方が良さそうですね。


    『アカゲカワラタケ』かと思われます。
    サルノコシカケの仲間のようですが、1年生のキノコだそうです。
    登山道の階段で横木と杭の隙間に律儀に形(角度)どおりに育っていました。

    平成30年10月2日(火曜日)

    本日は、台風24号による被害の様子を確認する目的で、木平(きだいら)登山道のパトロールを行いました。
    幸い、台風の影響は大きくなく一安心でした。
    パトロールをしながら、樹木の枝などに注目してみると、今更ながら面白い形の樹形に驚かされます。
    自然の造形美です。
    ここ木平湿原近辺では、特にそれが顕著です。
    下の写真は、湿原の手前付近で撮影したものです。
    誰かが盆栽を作る目的で意図的に樹形を作ったものでは…?と思ってしまいます。
    こんな山奥で盆栽作りをする暇人はいないでしょうから、これは自然が偶然作り出したものでしょう。


    ブナの大木のすぐ近くで、同じくブナの木が何本も絡み合うように横方向に伸びているものです。
    同じブナなのに、直立して堂々と成長しているものと、いじけたようにグニャグニャに成長しているものが混在しているのはなぜでしょう…?
    研究してみると面白いかもしれませんね。


    現代彫刻のオブジェ「苦悩する巨人」とでも名付けたくなりますね。
    「どうしてこんな形になったのか」と想像するのも難しいくらいですね。


    登山道沿いに、ひたすら横へ横へと成長しているブナの古木です。
    成長してから倒れたものではなく、成長するたびに雪に押しつぶされたものと考えられます。


    木平湿原の木道南側付近のものですが、このような景観が木平湿原の平坦部には当たり前のように広がっています。
    平坦部を過ぎて傾斜地になると、このような景観はほとんど見られなくなります、
    おそらく、積雪量と雪解けまでの期間の長さなどが関係していると思われます。
    木平湿原の湿原植物群も魅力的ですが、『木平』特有の自然が作り出した芸術品を鑑賞するのを目的に訪れるのも楽しいものでしょう。
    ちなみに、木平湿原の『木平』は、この近辺の樹木の多くが積雪の圧力でねじ曲げられ、横方向に成長している=木が平になっている、事からきているのではないか
    とも考えられますが、いかがでしょうか?